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白磁

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 白磁器について説明しています。

北宋時代、隆盛を極めた「白磁」

白磁が中国で作られるようになったのは、北斉時代(560~570年代)で、青磁の製造技術の完成に伴い発展していきました。唐時代になると白磁の生産が本格化。当時は「南青北白」といわれ、南部には青磁、北部には白磁を焼く窯が多かったようです。国民の生活が豊かになり、文化・芸術が最も発達した北宋時代には中国全土に陶磁窯が築かれ、白磁の名品が多く出回るようになります。

また白磁は、日本を代表するやきもの「有田焼」の祖としても知られています。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、佐賀藩主の鍋島直茂が撤退時に連れてきた朝鮮陶工の中に、李参平(和名は金ヶ江三兵衛)がいました。李参平は、有田で良質の磁石を発見。日本で初めて白磁を焼いたそうです。

鉄分の少ない釉薬と高温度が白磁のコツ

実は白磁のもとは青磁。簡単にいうと、青磁の素地と釉薬の中から鉄分を除いて焼かれたものが白磁なのです。鉄分が少なく、ケイ酸とアルミニウムを主成分とする白素地に、こちらも鉄分のない植物灰とカオリナイトから精製した無色の釉薬をかけ、高火度で焼成するのが基本的な製造方法。窯内の温度は青磁と同様1300度近くで、還元焼成(窯内の酸素を制限して焼成物から酸素を奪う焼き方)が用いられています。

さまざまな白磁の種類

白磁とひと口にいっても、さまざまなものがあります。たとえば北宋時代、白磁の中心だった「定窯」は、周辺が石炭生産地ということで、焼成燃料は石炭を利用。そのため、定窯の白磁は黄みがかった発色が特徴でした。

景徳鎮窯は磁土と釉薬に鉄分が含まれているため、青みのある白磁が特徴。中国国内向けの日常雑器をはじめ、アジア各地に多くの白磁が輸出されました。

エジプトの遺跡からは大量の白磁が出土しています。また景徳鎮は、釉薬が文様の線にたまって青みを帯び、美しい水色を見せる白磁の一種「青白磁」も有名。特に宋代の青白磁は梅瓶や香炉、鉢、水差しなどに用いられ、中国の宮廷、日本では大名クラスの上流階級に珍重されました。

「青花」も景徳鎮で誕生した白磁の一種です。これは白磁の釉下にコバルトで絵付けをし、透明釉をかけて高温度で焼成した彩画磁器。元時代の青花は緻密なデザインで大作が多く、イスラム圏に多く輸出されています。

李朝白磁

李朝白磁とは

李朝白磁(りちょうはくじ)とは何か?というと、これは中国で作られた陶器の中でも特に人気のある作品のことです。
希少価値も高く、白色がとても美しい陶磁器となります。

李朝白磁が作られ始めたのは6世紀頃のことで、中国が発祥です。
白色の土を原材料にすれば、必ずしも白磁になるわけではありません。
というのも、焼き上がる際に黒や茶色が出てくるものがあるからです。

このような色合いが出てしまったものに対し、白さを求めた場合には焼きあがった器に水に溶かした白い土を塗るなどの対策を取らなければなりません。
こういった技法を用いることにより、それまでに比べてより美しい白色を出すことができるようになりました。

時代が変化すると高潔さにこだわった陶磁器が作るようになるのですが、その中でも李朝白磁は非常に高く評価されています。
李朝白磁が完成したのは李朝時代に入ってからとされており、それまでの様々な時代の影響を受け、見事な白磁として仕上げられているのが魅力的です。

まるで雪のような美しさと称されるもののほか、青みがかったものや濁った白色釉などもあります。

李朝白磁の特徴

特に多い李朝白磁といえば、深鉢、広口壺、皿です。
白い色合いが特徴的な骨董品で、もう一つ見逃せないのが底の厚さだといえるでしょう。

これは機能性を考えて作られている証でもあり、底を厚くすることにより中に入っている食品を冷めにくくするための工夫ではないかと考えられています。

李朝白磁は貴族たちがより白くて美しい陶器を求める中で洗練されていった特徴を持っているため、その美しさは非常に見事なものです。

もともと、李朝では粉青沙器と呼ばれるものが作られていました。これは、自然な色合いが魅力的な陶磁器だったのですが、白磁に変わったのは17世紀以後のことです。

形や大きさは物によってかなり違いがあるのですが、その中でも特に重視すべきと言われているのが陶器の「肌」となります。良い肌をしているものは非常に高値が付きやすいのです。

李朝白磁と呼ばれていることからもわかる通り李朝という時代に作られたものなのですが、この時代が非常に長かったこともあり、時代の前半に作られたものと、後半に作られたものとでは特徴が大きく異なるのも李朝白磁の魅力だといえるでしょう。

李朝白磁の年代別特徴

時代別にみてみると、3つの時代にわかれます。
1つ目が、李朝初期と呼ばれる時代についてです。こちらは先述したように焼き上がった時に白い土を上塗りし、その上に様々な装飾を施しているものが多く見られました。

続いて2つ目が李朝中期と呼ばれる時期についてです。この時代は、金沙里と呼ばれる分院に技術が引き継がれ、陶器が作られています。
時代の中でも優れた作品が多数生み出されているのはこのタイミングだといえるでしょう。それまでは灰白色の陶磁器でしたが、この時代になるとより美しく、乳白色に変化しています。

また、絵付けをする際にコバルトを用いているのも特徴です。

その後しばらくすると王朝が衰退化して行くのですが、この影響もあって分院は民営化されることになります。すると窯は現在の広州市分院里に移転することになりました。

これが3つ目の時代で、赤い色を使った染付も行われるようになるのです。

このように、時代の変化によって作られている時のイメージや、装飾などについても違いがあります。
李朝白磁といっても、どの時代に作られたものを選択するのかによって見た目の印象はもちろん、価値も異なってくるので、李朝白磁に興味のある方は自分にとって最も理想的な李朝白磁が作られている時代をチェックしてみてはどうでしょうか。

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