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堆朱

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非常に歴史が深く、朱色が美しい堆朱(ついしゅ)についてご紹介します。

堆朱とは?

これは、彫漆(ちょうしつ)の一種です。彫漆とは何かというと、器の表面部分に何層にも漆を塗り重ねる技法で、その層を掘ることによって文様を表現することができます。こういった彫漆技法のうち、表面が朱色の物が堆朱と呼ばれるのです。

日本では堆朱と呼ばれる技法についてですが、これは中国では「剔紅 (てっこう) 」と呼ばれており、この他に、黒い色の堆黒(ついこく)もあります。

堆朱の歴史

堆朱が中国で盛んに作られたのは宋代です。日本に入ってきたのは鎌倉時代とされており、日本でも室町時代から堆朱が作られるようになりました。

日本で堆朱を作っていた作家は数多くいますが、その中でも代表的なのが堆朱楊成(ついしゅようぜい)と呼ばれる漆工一門です。室町時代から明治時代に活躍し、代々に渡り堆朱を得意としてきました。日本で堆朱が作られるようになったのは、1360年頃ではないかと伝えられています。

堆朱の作り方

ヒノキなどの素地を用意し、これに朱漆を渡り塗り重ねていきます。100回以上塗り重ねるとそれなりに厚さが出てくるので、あとはここに刀で浮彫りし、形を作っていくのです。この朱漆を塗り重ねて層を作るのにはかなりの時間がかかります。ひたすら塗っていけば良いわけではなく、土台に漆を塗ってからそれが乾くのを待ち、また塗っていかなければならないからです。

堆朱は層を掘って削ることにより模様を刻んでいくわけですが、削った時の色合いなども考えながら朱漆を塗り重ねていかなければならず、非常に時間のかかる手法と言えます。すべての工程は10以上にも及ぶだけでなく、天候や湿度といったものも関わってくるため、数ヶ月の時間を要します。

こういった大変さがあるからこそ、美しく、それでいて丈夫な堆朱ができると言えるでしょう。職人の技が積み重なっている作品である点も魅力です。

堆朱の大きな特徴とも言えるのが、でき上がりの時は黒味がかった朱の色が強いのに対し、年数が進んでいくと徐々にツヤが出て朱の色に艶が出てくるということ。このあたりも味わいながら楽しめる種類の骨董品です。

堆朱の多くは、非常に細かいデザインが彫られています。どれくらい失漆が重ねられたのか、どのような彫り方をしたのかによっても少しずつ作品の特徴が変わってくるので、お気に入りの作品を探してみてはどうでしょうか。

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